札幌高裁判決「違憲」同性婚めぐる裁判これまでの判決と争点

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同性婚の自由を求めるカップルが、「同性婚を認めない規定は違憲」として訴訟。
この控訴審判決が3月14日、札幌高裁で出されました。

同性婚を認めない規定は「違憲」 札幌高裁判決 初めての高裁判断:朝日新聞デジタル
同性婚を認めていない民法などの規定は憲法に違反するとして、北海道内の同性カップル3組が国を訴えた訴訟の控訴審判決が14日、札幌高裁(斎藤清文裁判長)であった。判決は、規定は「婚姻の自由」を定めた憲法…

訴訟を起こしたのは北海道内のカップル3組。
民法などの規定が同性婚の自由を制限しているとして国を訴えました。

斎藤清文裁判長による判決は「違憲」
賠償金100万円については棄却となりました。

この記事では、

  • 同性婚に関するこれまでの裁判とは?
  • 争点となった憲法の条項は?
  • 同性婚を認めている国々はどこ?

をご紹介します。

えりな
えりな

全国の当事者とアライが見守ってきた訴訟

問題提起として大きな意味のある裁判だったと思います!

同性婚に関するこれまでの裁判とは?

UnsplashMaico Pereiraが撮影した写真

同性婚に関する裁判は、令和3年から令和6年の6月までに6カ所の地方裁判所で行われました。

  1. 札幌地裁(令和3年3月) 
  2. 大阪地裁(令和4年6月)
  3. 東京地裁(令和4年11月)
  4. 名古屋地裁(令和5年5月)
  5. 福岡地裁(令和5年6月)
  6. 東京地裁(令和6年3月)

過去6回の判決はいずれも「合憲」または「一部合憲」。
14日の札幌高裁での裁判は、令和3年の札幌地裁での判決に対する控訴審です。
今回、高裁で初めての違憲判決が出たことで、同性婚実現への大きな一歩であると期待の声が上がりました。

のあ
のあ

いつか私が同性と結婚したいと思っても、みんなと同じように法的に結婚できるかも

そんな希望が持てる出来事だったよ

争点となった憲法の条項は?

これまでの地方裁判、そして今回の高裁の判決で争点となったのは憲法における3つの条項。
「法の下の平等」と「結婚」について定めた条文でした。

  1. 憲法14条1項
  2. 憲法24条2項
  3. 憲法24条1項

それぞれの文章を見てみましょう。

①憲法14条1項

すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

日本国憲法|e-Gov法令検索

人種、信条、性別などを理由にした差別は依然として存在します。
しかし法的にはそれを憲法違反として禁じているはずなのです。
同性愛者が結婚する権利が、法律の壁によって侵害されているのは違憲、と考えられます。

この憲法が制定されたのは昭和21年。
当時同性愛の存在は文学の中でまれに取り上げられるだけで、一般に知られてはいませんでした。
平等を訴える国民の中に、同性愛者は想定されていなかったのです。

②憲法24条1項

婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

日本国憲法|e-Gov法令検索

この条文の中の「両性」という表現の解釈が、これまでの裁判では争点となっていました。
両性とは「男性」と「女性」の意味であるという解釈です。

一方で、「両」は「二つ」の意味であるので、男女関係なく二人の性別を表しているとう捉え方もできます。
今回の高裁判決では、必ずしも男女の性を表しているわけではないという解釈がされました。

「両性」は「男女」でなく「人と人」 憲法条文の本質を見定めた高裁:朝日新聞デジタル
「憲法24条1項は人と人との自由な結びつきとしての婚姻をも定める趣旨で、同性婚も保障している」 14日午後の札幌高裁判決は、同日午前の東京地裁までの6件の地裁判決が認めなかった24条1項違反に踏み込…
えりな
えりな

裁判所が憲法の解釈を変えることを危惧する声もありますが、いつまでも古い解釈では世の中は変わりませんよね

③憲法24条2項

配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

日本国憲法|e-Gov法令検索

同性カップルがこれまで直面してきた悩み・・・財産や相続や住居。
配偶者として、また家族として法的に認めてもらえないということは、これらの保証もされないということです。

この問題を回避するために、「養子縁組」という形をとる同性カップルも。
これにより夫婦と同じような権利が発生しますが、完全に夫婦と同じではありません。

配偶者としての権利は、結婚を考えるすべての人に与えられるべきですよね。

同性婚を認めている国々は?

現在、世界37か国で同性婚が認められています。
全ての国名はNPO法人EMA日本世界の同性婚のページで確認できます。

そのうち以下の3か国をピックアップして、経緯を解説します。

  1. オランダ
  2. アメリカ合衆国
  3. 台湾
えりな
えりな

アライの私にとって、印象的だった国をご紹介します

①オランダ

2001年に、世界で最初に同性婚を合法とした国になりました。
世界最古のLGBT擁護団体があるオランダ。
移民が多い、宗教観が薄いというお国柄もあり、多様性に寛容な歴史が背景となっていると考えられます。

UnsplashMartin Woortmanが撮影した写真

アムステルダムでは毎年8月に運河を利用したゲイパレード「キャナルパレード」が開催されます。

②アメリカ合衆国

自由の国アメリカと言われますが、全州で同性婚が合法となったのは2015年。
世界では19番目の国となりました。

アメリカは州ごとに法律が異なります。
最初に同性婚を合法としたのはマサチューセッツ州、2004年のことです。

最高裁の判決により、全州で合法化された際にはホワイトハウスがレインボーカラーにライトアップされました。

③台湾

2019年、台湾は東アジアで初めて同性婚を合法化した国になりました。。
中国系が大部分を占め、保守的が考えが残る台湾では、前年2018年まで同性婚の合法化には反対意見が大多数。
それでも国民の1割が同性愛者を公表している背景から、合法化については2000年代から議論されていました。

2017年に司法院大法官会議が「同性婚を認めないのは違法」との判断を下し、政府に法改正を義務付け。
蔡英文総統率いる民主進歩党による法案が可決され、2019年に施行となりました。

UnsplashAndrew Leuが撮影した写真

同じ東アジアの国として、この大きな変革は日本の当事者の背中を押す出来事だったといえます。

まとめ

同性婚違憲裁判まとめ

  • これまでの地裁判決は6回
  • 争点は「法の下の自由」と「結婚」について定めた条文
  • 世界で同性婚を合法としている国は37か国
  • 東アジアでは台湾のみ

以上、同性婚の違憲判決について調べてみました。
実質的な合法化への大きな一歩になった判決です。
今後の動きにも注目していきたいと思います!

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