Green Day(グリーンデイ)といえば1990年代に新星のごとく現れたスリーピースのパンクバンド。
マリファナ漬けのダメなLAボーイの生活を歌っていたのが一転、社会派バンドへと成長を遂げました。
2024年1月に14年枚目のアルバム”Saviors(セイヴィアーズ)”を発表。
4番目のシングルカット”Bobby Sox(ボビーソックス)”のPVが話題になっています。
PVの内容と、タイトルの意味を分析してみました!
ママが若いころ好きだったバンドだよね。
サウンドは今聴いてもカッコいいと思います!
デビュー曲の”Basket Case(バスケットケース)”は衝撃だったの!
Billy Joeは当時から声も姿も変わってなくてビックリ!
伝説的パンクバンドによるクイアソング!PVの内容とは?
「僕の彼女になりたいかい?」という歌詞から始まる”Bobby Sox”。
90年代のハウスパーティをイメージしたセットでGreen Dayが演奏しているという設定です。
3人を取り囲む観客たちは人種も年齢も性別もバラバラ。
そしてビリー・ジョーが続けて歌う歌詞は「僕の彼氏になりたいかい?」
ノスタルジックな映像の中に、時折キスをする同性カップルたちが映し出されます。
メンバーが50歳を迎えた今も変わらない、粗削りでシンプルなサウンドとシャウト。
その内容は、同性の恋人を平凡なデートに誘うものでした。
単純な歌詞の繰り返しでありながら、幸せな気持ちで一緒に歌いたくなります。
YouTubeのコメントには
「今16歳で、父親が好きだったから生まれた時からGreen Dayを聴いてる。クイアの一人として、そんんなすごいバンドがクイアのテーマを歌ってくれてることが嬉しくて仕方ない」
「バイセクシャルの自分にとって、この歌とPVはまさに世界そのもの」
と当事者からの喜びの声が。
Xtra*, ThemなどのLGBTQ+メディアも、伝説的パンクバンドによる新たなクイアアンセムを歓迎しました。
Green Dayとは?
Green Dayのプロフィールをご紹介しますね!
Green Dayは1987年にビリー・ジョー・アームストロング(Vo.)とマイク・ダーント(B)によって結成。
後にトレ・クール(Dr.)が加入し、1990年にマイナーレーベルのルックアウトレコーズからレコードデビューしました。
その後リプリーズレコードと契約して1994年にアルバム”Dookie(ドゥーキー)”でメジャーデビュー。
シングルカットされた”Basket Case(バスケットケース)”は世界的ヒットを記録しました。
ボーカルのビリー・ジョーは1972年生まれの現在52歳。
マイクとトレは一つ下の1973年生まれです。
ビリー・ジョーは1995年にバイセクシャルを公表
”Dookie”に収録の楽曲”Coming Clean(カミングクリーン)”について語る際に、ボーカルのビリー・ジョーはバイセクシャルであることを公表しました。
Coming Cleanとは「本当のことを言うと」という意味。
ビリー・ジョーが十代の時に抱えていた葛藤を歌っています。
Secrets collecting dust but never forget
Green Day / Coming Clean
Skeltons come to life in my closet
「長い間抱えてて決して忘れられない秘密 骸骨がクローゼットにやってきた」
「クローゼットの中の骸骨」とは、誰しもが一つは抱える秘密のことを表す慣用句。
いつしか性自認や性志向の秘密のことに使われるようになり、ClosetがLGBTの隠喩になりました。
カミングアウトという言葉ももともとは”coming out of the closet”から来ています。
タイトル”Bobby Sox”とは?
ボビーソックスとは,1940年代から80年代にかけて少女たちの間で流行した足首丈のソックスのことです。
「bobby socks」は、1943年に「bob(n.2)」の愛称から派生した「sox」の愛称である。膝丈ソックスに比べて「短く」見えるため、このように呼ばれる。派生語「bobby-soxer」は、「大衆歌手のファン」を指す「思春期の少女」を特に指し、1944年に確認されている。
etymonline / sox
いまでもショートヘアをボブカットとかショートボブと言いますよね
1940年代にボビーソックスを履いていたのは、伝統的な貞淑さに反抗していた少女たち。
パンクミュージックの源流でもある、若さと反骨精神の象徴として、Bobby Soxというタイトルが使われているとファンは分析しています。
クイアソングが平凡になる日
この曲を友人に聴かせた時のことを、ビリー・ジョーはLA Timesにこう語っています。
「彼は泣き出したんだ。今でこそLGBTQのこどもたちは受け入れられて、大人からのサポートも受けられている。けど、僕らの時代はやっと口に出し始めた頃だったからさ」
友人の涙は、秘密を抱えて辛かった青春時代や、変化してきた世の中に対して様々な想いが入り混じったものだったのでしょうか。
そして、彼らの世代が少しずつ世の中を変えてきたのも事実です。
Green Dayのメンバーが10代だった頃には、ボビーソックスはすでに「思春期の女の子」ぐらいの意味になっていました。
反骨の象徴が平凡さを表すものになったように、同性のパートナーに送るクイアソングもいつか、ありふれたものになることでしょう。
きっとそれは寂しいことではなく、喜ばしいことのはず。
この曲は、耐えてきた世代や今まだ耐えている若者への応援ソングなのかもしれません。
まとめ
Green Dayの新譜”Saviors”からのシングル”Bobby Sox”についてご紹介しました。
- 異性・同性の相手をデートに誘う歌
- ボーカルはバイセクシャルを公表
- Bobby Soxは反骨精神の例え
- LGBT当事者への応援ソング
明るくシンプルなサウンドで社会的なテーマを歌うGreen Dayの、これまでの軌跡が凝縮した作品です。
メンバー3人が変わらず仲良さそうなのがとても嬉しいです!